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配当金と株主優待
保有している株数に応じて株主が受け取ることのできる収益です。
株式投資をする者にとって楽しみの一つですね。
ですが、配当金と株主優待に目がくらみ、株式取得の買い時と売り時を間違えると、思わぬ損失を被る危険性があるのです。
今回は権利落ち日について、事例を交えた紹介をいたします。
※ 株価・チャート・優待内容は記事作成時のものでおり、現在の状況とは異なる場合がございます ※
権利落ち日とは
株主は、保有している株式の数に応じてその会社に対し、「株主権利」という権利を持つことができます。
株主権利とは、「配当金」「株主優待」を受け取る権利、「株主総会」に出席する権利のことです。
その株主権利がもらえる権限が確定する日のことを「権利確定日」といい、
株式を保有しておくことにより株主権利を得られる日のことを「権利付き最終日(権利取り日)」といいます。
「権利確定日」と「権利付き最終日」の違いについてはこちら の記事で説明しています。
権利付き最終日に株式を保有していれば、たとえその一日しか持っていなかったとしても、配当金と株主優待を受け取ることができます。
権利付き最終日の翌営業日のことを「権利落ち日」と呼びます。
権利落ち日以降は株を保有していても、次の配当権利を獲得するまで早くて半年、長ければ1年先になるので、投資家の興味が薄くなります。
結果、株式が売りに出されることが多く、権利落ち日には株価が下落する傾向があります。
その下落幅は銘柄によって異なりますが、場合によれば、配当金や株主優待で受け取る利益より大きく下がる可能性があるのです。
そして権利落ち日の株価急落は優待利回りの大きい銘柄ほど顕著に現れるのです。
事例 ヒロセ通商のカレーの悲劇
ヒロセ通商という、証券・商品先物取引を行っている会社があります。
このヒロセ通商、優待利回りの良い会社だと株主優待ファンに人気のある会社なのです。
株価2000円前後のヒロセ通商の株主優待は、
100株以上の保有でなんと10000円相当分の自社キャンペーン商品が受け取れます。
ヒロセ通商 公式HP より画像キャプチャ
ヒロセ通商のIRページをみると、優待の内容は食品の詰め合わせのようですね。
「爆益トレード 乙カレー」が気になります!
ヒロセ通商 公式HP より画像キャプチャ
ホームページにも「利回り約7%」と銘打っていますから、会社としても株主優待にはかなり力を入れている様子が伺えます。
それでは、直近3ヶ月のヒロセ通商の株価チャートをご覧ください。
ヒロセ通商の権利付き最終日は9月26日でした。
その翌日の9月27日が権利落ち日になります。
おわかりいただけるでしょうか。
9月26日の株価は2345円に対し、次の日は2100円を下回っています。
実に10%も値下がりしているのです。
もし株主優待だけを目的に9月26日に100株購入、次の日に売却したとなると、損失額はおよそ23000円。
10000円の株主優待を受け取るために23000円を失ったことになるのです。
ちなみに、権利落ち日の次の日にも大きく株価を下げていますが、
「FX取引のレバレッジを25倍から10倍に引き下げると金融庁が計画している」
という、ヒロセ通商にとっての悪材料が重なった結果のようです。
高値で株を取得するも、株価の急落にビビって損切りできずに今も保有している場合だと、
2345円 → 1800円 で、およそ23%の含み損を抱えていることになります。
企業を恨むのはお門違い!投資は全て自己責任です
ヒロセ通商の株取引の掲示板を見ていると、
・10000円の優待をもらうのに23000円の損を抱えてしまった・・・
・損切りできずに含み損50000円・・・優待いらないから含み損返して
・40000円のカレー、ありがたくいただきます!
という、悲痛と自虐のこもった書き込みがされています。
40000円のカレーとは、含み損50000円と10000円の優待品の差額でしょうか。
厳しい言い方かもしれませんが、投資で損失が出たとしてもそれは全て自己責任です。
高い株価で買ってしまったのも、その後下がった株をそのまま保有してしまっていたのも、全て自分で決めたこと。
ましてや企業を恨むのはお門違いです。
「含み損返して」とは、誰に対して言っているんでしょうか?
まさかヒロセ通商に対してではありませんよね。
ヒロセ通商が何か悪いことをして株価下落を引き起こしたわけではありません。
魅力的な高利回りの優待に人が群がって株価が上がり、権利落ち日になると投資家が大量に売り、株価が下がってしまっただけです。
投資は全て自己責任で行うものです。
株主優待をとるか売却益をとるか
ヒロセ通商のチャートを見ると、
権利付き最終日の2ヶ月前あたりから徐々に株価が上がり始め、1ヶ月前に急上昇。
それから上がったり下がったりを繰り返しつつ、権利付き最終日に最高値となり、その後急落しています。
上がり幅や下がり幅に差はあっても、権利付き最終日前後はどの企業も概ねこのような値動きになります。
そのため株主優待を狙うなら、遅くとも権利付き最終日の2~3ヶ月前には株式を「仕入れ」ておく必要があるのです。
また権利付き最終日前には株価が上がるとわかっているなら、
配当金や株主優待はもらわず、権利付き最終日直前に株を売って売却益を確保するという方法もあります。
株主優待を楽しみにしている人には辛い選択かもしれません。
ですが冷静になって考えてください。
「その株主優待は本当に必要なものだろうか?」
ヒロセ通商だと、1ヶ月前に100株買ったとしても9月26日に売却すれば30000円の利益を確保できました。
これは10000円の優待額を大きく上回ります。
売却益の30000円で、優待でもらえるカレーがいくら買えるか考えてみてください。
株主優待の中には、限定のグッズだったり店舗で使えるチケットがもらえる場合があります。
しかし究極的には、オークションや金券ショップで手に入れることができます。
あなたが本当にほしいものは何なのか
株式投資で手に入れたいものは何なのか
冷静な頭で考え、あなたの基準やルールを決めておくことをお勧めします。
おわりに
このブログでは、株主優待をもらえる銘柄を中心に株式投資する方法を推奨しています。
株主優待の内容が自社商品やサービスの提供だった場合、優待利回りが高くなる傾向があり、
配当金とあわせた総合的な収益が大きくなるからです。
そうやって日々の生活を少しずつでも豊かに、より良いものにしていく方法を模索しています。
だから私は、
株主優待をもらえる銘柄を中心に買い長期保有する
ただし株価が20%上がった時点でその銘柄を売却する
という2つのルールのもとで株式投資を行っています。
自分でルールを決めるというのはかなり有用な方法だと思いますので、いつか記事にしたいと思います。
最後に・・・
今回は優待額の大きさと優待利回りの高さ、そして権利落ち日の下落率の高さからヒロセ通商さんのチャートを事例として使用させていただきました。
これは決して「ヒロセ通商への投資は危険」ということを言いたいのではなく、インパクトの強い事例の方が、株主優待の獲得に固執せず冷静な頭で考えてほしいという私の言いたいことが伝わりやすいはずだと考えたためです。
誤解のなきようお願いいたします。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。