日本で上場している企業の30%を超える企業が実施している株主優待。
株主優待を目当てに株式投資を始めた人も多く、株主優待は株式投資の中の一大ジャンルになっています。
しかし、株主優待はあくまで「おまけ」のようなもの。
株主優待は、制度が廃止されたり、内容が縮小されるおそれがあるのです。
優待廃止となれば、優待商品がもらえないだけでなく、
優待廃止の発表後に株価が大幅に下落し、大きな損失を出すことも珍しくありません。
そんなことにならないために、株式を購入する前に、株式銘柄をきちんと調べることが重要です。
株主優待が廃止・縮小される企業には共通した特徴があります。
このことを知っておけば、優待廃止とそれにともなう株価暴落のリスクを減らせるかもしれません。
どんな優待が廃止されやすいのか?
株主優待が廃止されるかもしれない企業の特徴についてまとめてみました!
目次
業績悪化で赤字継続の企業は要注意!
株主優待が廃止されやすい企業の一番の特徴は、業績が悪化しており赤字経営の状態が続いている企業です。
株主優待は、その企業の経営がある程度順調だからこそ維持できる制度です。
それが経営が苦しくなり赤字に転落してしまうと、業績回復をはかる対策として経費削減の必要に迫られます。
会社にとって大きなコストとなる株主優待は、業績が悪化した際に真っ先に削られてしまうのです。
もちろん業績が悪化したからといって、すぐに株主優待の廃止をするわけではありません。
株主優待を廃止すると即座に株価にダメージが出るので、企業も慎重な対応を取ると思われます。
ですが業績不調が何年も続き、赤字の状態が継続している企業は注意が必要です。
自社商品以外の優待を提供している企業
自社商品以外の優待を行っている企業は、株主優待が廃止になるリスクが高いです。
自社商品以外の優待とは、
ギフトカードやクオカードなどの商品券
お米
商品カタログ
などの優待品のことです。
自社商品なら原価で優待を提供できますし、自社商品を知ってもらう宣伝にもなります。
ですが商品券やお米など、その企業が事業で扱っている商品でないものは、外部から「売価」で調達してくる必要があります。
同じ価格分の優待であっても、自社商品とそうでない商品とでは、企業側のコスト負担が大きく違うのです。
ギフトカードやクオカードなどの商品券は、株主からすれば色んな買い物に使えるので便利なのですが、企業側のコスト負担が大きいため廃止や改悪が起こりやすいのです。
逆に言うと、自社商品を扱う企業の優待は廃止されにくいということができます。
○円分相当の自社商品を贈ってくれたり、サービスの割引券を受け取れるような優待の場合ですね。
それでも縮小などの「改悪」が行われる可能性はゼロではありませんが・・・
関連記事 → 株主優待縮小で株価が暴落したヴィレッジバンガードの悲劇
できるだけリスクを抑えたい慎重派の方は、
株主優待で自社商品を扱う業績の良い企業から保有銘柄を選ぶのがよいでしょう。
外国人投資家の比率が高いとハイリスク!
外国人投資家の比率が高い企業は株主優待が廃止されやすいと言われています。
株主優待は日本独自の珍しい制度です。
そして株主優待は、ほぼ全ての企業において日本国内でしか使えない商品・サービスになっています。
どんなに魅力的な株主優待を実施している企業でも、外国人投資家は株主優待を受け取ることはできないので何のメリットもありません。
そのため、外国人投資家の比率が高い企業だと、
「株主優待を廃止し、その分配当金を上げてもらいたい」
という圧力が強くなるのです。
発行済株式の3%以上の株主になれば、
株主総会の招集請求権や取締役の解任請求権などが発生し、
3分の1以上の大株主になれば、
会社の重要事項に拒否権を発動できるようになります。
お金を出した人は、それだけ経営に口出しする権利がある。
それが資本主義です。
大量の株式を保有する投資家には様々な権利があります。
業績が悪化しているにも関わらず、株主優待を実施していたなら、間違いなく外国人投資家が経営陣に圧力をかけてくるでしょう。
外国人投資家の株主比率が高い企業は、外国人株主が株主優待の廃止を迫り、株主優待が廃止されてしまう危険性があるのです。
海外企業の子会社も注意が必要
外国人投資家の比率が高い企業だけではなく、
外資系企業の子会社となっている企業にも注意が必要です。
2014年9月下旬、スターバックスコーヒージャパンが完全子会社化し、上場廃止になることがが発表されました。
スターバックスの場合は、株主優待廃止を通り越して上場廃止になってしまったのです。
海外企業は日本以上にシビアでドライ。
業績の低迷が続けば、経営戦略という理由で優待廃止になるどころか、上場廃止の可能性だってあるのです。
海外に親会社があり、日本では子会社として上場している企業は、優待廃止以上のリスクを抱えています。
ですから業績の変化には常に注意を払っておく必要があります。
市場昇格の後に優待が廃止されることがある
会社の規模が大きくなってくると、多くの企業は「株式の上場」を目指します。
株式を上場を目指す理由として、
その企業の社会での信用度が格段に高まる
株式を公開し、資金調達がしやすくなる
社会に広く知られるようになり、知名度を上げられる
上場するにはクリアすべき基準があるため、健全な経営体制を実現できる
取締役・従業員の士気の向上
上場後の株式新規公開時に保有株を売ることで、創業者が利益を得ることができる
などが理由として挙げられます。
上場の基準は、各取引所に設置された市場ごとに異なっているのですが、日本の全上場企業のうち9割以上が上場しているのが東京証券取引所です。
東京証券取引所は、「東証一部」「東証二部」「東証マザーズ」「ジャスダック」の4つの市場に分かれています。
「東証一部」 大企業
「東証二部」 中堅企業
「東証マザーズ」 成長企業
「ジャスダック」 振興企業
イメージとして各市場はこのような区分に分かれており、上の市場への昇格を目指して企業は日々努力しているわけです。
企業の中には、市場昇格のために株主優待を利用し、株主の数を稼ごうと考える企業があります。
そして市場昇格を果たした後に優待制度を廃止してしまうことがあるのです。
福井県に地盤のあるドラッグストア、ゲンキー㈱は、2011年5月に東証一部への昇格を果たしました。
そして東証一部への昇格のすぐ後、同年8月に株主優待制度の廃止を発表したのです。
ちなみにゲンキーは、その後業績が振るわなかったのか、「株主から優待復活の再開を望む声を考慮した」という名目のもと、2013年に株主優待を復活させています。
優待は株主への「おまけ」のようなものですから、いきなり制度を廃止してもペナルティなどはありません。
株主を増やすために優待で人を集め、東証一部に昇格したら用は済んだ後に優待を廃止する。
そんな企業も存在していることを覚えておきましょう。
まとめ
株主優待が廃止されるかもしれない企業には次の特徴があります。
業績が悪化し赤字経営が続いている
ギフトカードやカタログなど、自社商品以外の優待を提供している
外国人投資家の比率が高い
海外企業の子会社
市場昇格を狙う企業
また、優待廃止が発表されると株価が大幅下落してしまう危険性があり、
もらえると思っていた優待が受け取れない上に、含み損を抱えるという二重のダメージを受けてしまうかもしれません。
関連記事 → 株主優待縮小で株価が暴落したヴィレッジバンガードの悲劇
そうならないよう、株主優待が廃止されるかもしれない企業の特徴と兆候には目を光らせておきましょう!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。