これってパワハラ?意外に知られていないパワハラの定義 判断基準は「不当」であるかどうか

派遣社員 退職理由 パワハラ

テレビや新聞、ネットなどで、さまざまなパワハラに関するニュースを目にする機会が増えてきました。

労働局の総合労働相談コーナーに寄せられた相談内容は、「いじめ・嫌がらせ」が4年連続で1位。

今やパワハラは社会問題になりつつあります。

●上司から毎日のように怒鳴られている

●就業後でもお構いなしに電話がかかってくる

●ちゃんと教えてもらえず、まるで大勢の前で失敗させるような仕事の振り方をする

かく言う私もこうした日常的なパワハラを受け、精神がどうにかなる前に逃げるようにして会社を辞めた人間です。

パワハラ被害に悩む労働者が急増する一方、パワハラと言われるのが怖くて指導できないという声や、権利ばかり主張する部下が増えて困っているという意見も耳にするようになりました。

簡単にパワハラという言葉が使われています。

ですが何がパワハラで、何がパワハラでないのかを分ける「基準」は何かと聞かれると、少し曖昧な方が多いのではないでしょうか。

実はパワハラを直接裁くための法律がなく、法的な判断基準は存在していないのです。

そのためパワハラについての対応が難しいのが現状。

パワハラから身を守るため、パワハラをしてしまわないため、どのような行為がパワハラにあたるのかを正確に把握しておく必要があります。

今回は、パワハラとパワハラでない行為の違いを明確にする判断基準についてお話しします。

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パワーハラスメントの定義

パワハラには法律的判断基準がない!

パワハラ 法律 定義なし

パワハラとはパワーハラスメントを略した言葉です。

パワーとは「権力」、ハラスメントとは「いじめ」

つまりパワハラとは「権力者によるいじめ」「権力を利用したいじめ」ということになります。

昨今、よく耳にするようになってきたパワハラ。

立場を利用して肉体的・精神的に負い詰める行為はきわめて悪質と言えるでしょう。

ですが・・・

セクハラに関しては男女雇用機会均等法(第11条)という法的な根拠がありますが、パワハラには法令規定が存在しないのです。

そのためパワハラの判断基準は非常に曖昧。

しかし国の方もパワハラの防止対策に乗り出しており、パワハラについての定義や判断基準が公表されています。

厚生労働省によるパワーハラスメントの定義

パワハラ 定義

パワハラは法律で具体的に明記されていないものの、厚生労働省によってこのように定義されています。

「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

(厚生労働省「あかるい職場応援団」より)

これによりパワハラがパワハラにあたるかどうかを判断します。

同じ職場で働く者とは働く職場が同じである者同士のこと。

正社員やアルバイト、パート社員や契約社員といった企業が直接雇用している者だけでなく、派遣社員や請負社員といった雇用形態の者も含め、ともに同じ職場で働いている人のことをいいます。

職場内での優位性とは職務上の立場や地位のみならず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。

上司から部下へ、先輩から後輩へ、そして同僚間、部下から上司へ。

パワハラって上司から怒鳴られたり殴られたりするってイメージがありますが、上司が部下からパワハラを受けるという場合もあるんです。

例えばパソコンが苦手な上司に対して、部下が「そんなことも知らないんですか?」と馬鹿にすることもパワハラ。

専門知識の優位性もパワハラになる得るのです。

業務の適正な範囲とは、業務内容や雇用形態などがそれぞれ異なりますので、それによってパワハラに該当するかどうかの判断が変わります。

指示や注意、指導について不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワハラにはあたりません。

しかしこの基準は世代によってかなり認識が違ってきます。

年配の上司からすると「自分は怒鳴られながら仕事を覚えた。厳しく指導して何が悪い?」という思いで部下の教育をしていても、若手の部下からしてみれば、「教育のためでも厳し過ぎる」と感じてしまうことも。

どこまでが指導・教育で、どこからがパワハラなのか、その基準は受け止める側によって大きく変わってしまいます。

精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為とは、業務として通常考えられるような事柄以上の行為のこと。

たとえば、暴言を吐いた、殴る蹴るなどの暴行、個人的な金銭貸借の強要、土下座の強要などが考えられます。

また、パワハラは一回のみの行為ではなく、継続的な行為であることが多いと考えられています。例えば、怒鳴られるという行為は、一回のみの行為であればパワハラとまでは言えません。

ですがこれが継続して行われ、怒鳴られる側が著しい精神的苦痛を感じていたり、職場環境が悪くなっている場合はパワハラに該当していると言えるでしょう。

パワハラに関する裁判例は年々増えつつあります。

注目すべきは被害者側が勝訴しているケースが多いこと。

法律として成文化こそされていないものの、判例という形で判断基準が積上げられていっているのです。

パワハラの6つの類型

具体的にパワハラとはどのようなものがあるでしょうか。

パワハラには大きく分けて6つのタイプがあるとされています。

どのような行為や言動がパワハラにあたっているのか、以下の6つのパターンを参考に確認してみましょう。

身体的な攻撃

パワハラ 攻撃

殴る・蹴る・突き飛ばすなど、目に見えてわかりやすい暴力や傷害のことです。

明らかな暴力はもちろん、ヘルメットの上から頭をたたく、ネクタイをつかむ、小突く、ゴミ箱を蹴飛ばす、物を投げたりすることも身体的な攻撃のパワハラに当てはまります。

また、タバコの火を近づけたり、立ったまま電話営業をさせる、冬に扇風機を当て続けることもパワハラに該当します。

もしもその行為が原因で相手に怪我をさせた場合は傷害罪が適用されます。

精神的な攻撃

パワハラ 攻撃

業務とは関係のない嫌味や暴言、雇用の不安を与える、人格を否定するなどをして苦痛を与えることを言います。

使えない人間、バカ、給料泥棒、のろまなど、こうした発言は業務をする上で必要のない言葉であり、明らかな差別用語の使用や威圧的態度なども精神的な攻撃のパワハラに当てはまります。

これはかなり幅が広く、「バカヤロー」という発言一つでも人によって受け止め方はさまざま。

その言葉が発せられた状況や人間関係を考慮しながら、脅迫や侮辱と感じるかどうか、相手を窮地に追い詰めるような表現でないかなど、客観的な判断も必要になってきます。

結果的に精神障害を患ってしまうようなケースも多く見られるパワハラです。

人間関係からの切り離し

パワハラ 仲間外れ

無視や隔離、仲間はずれにするなどの行為も、度が過ぎるとパワハラに該当する可能性があります。

仕事を教えない、席を隔離する、話しかけても無視をする、自分にだけ資料が配られない、職場の他のメンバーが出席する飲み会に呼ばれないなど、孤立させるような行為はパワハラになります。

やっていることは非常に幼稚ですが、ことに女性から受けるパワハラに多いです。

隔離や意図的な仲間はずれは客観的に見てわかりやすいのですが、無視となった場合、単に人間関係が希薄なだけなのか、用事がないから話をしないだけなのか、意図的に話をすることを避けているのかが難しく、パワハラと断定できるかどうか判断に悩むケースもあります。

過大な要求

パワハラ 過大な要求

遂行不可能なほどの大量の業務を強制することは、過大な要求のパワハラに当てはまります。

明らかに終わらない量の業務指示を出す、新入社員に対して達成困難なノルマを課す、不要な業務まで押し付けるなどは個人の業務を妨害していることになります。

さらに、達成できなければ怒鳴ったり殴ったりするなど、他のタイプのパワハラと併用されることもあります。

このタイプも判断が難しく、他の人より少し仕事量が多い、少し難しい仕事を与えられた程度ではパワハラとは認定されないでしょう。

過小な要求

過大な要求とは反対に、程度の低い単調な作業を延々とさせることも過小な要求のパワハラに当てはまります。

まったく仕事を与えない、コピーだけ延々とらせる、必要性がないのに紙を破るといった単純な仕事しか与えない、毎日部長周りのお世話やお茶汲みしかやらせなないなど、業務上の合理性なく仕事を減らされたりすることもパワハラになるのです。

ですが過大な要求・過小な要求はともに、上司がうっかりして指示している場合もあります。

あまりにも不当だと感じたら、自分自身の状況を伝え、相手の意図を確認することが重要です。

個の侵害

業務とは関係なく、プライベートに過度に立ち入る、個人生活に不必要に踏み込むことは個の侵害のパワハラに当てはまります。

上司といってもそれは業務上の立場であり、私的な生活に過度に立ち入ることは許されません。

たとえば不要不急のことで休日や夜間にメールや電話をする、個人生活についてあれこれ口出しをするなどもこれに当てはまるでしょう。

女性に対して結婚や交際についてしつこく聞いてきたり、内容が性的なものになるとセクハラになる可能性もあります。

パワハラの判断基準は「不当」であるかどうか

パワハラ 落ち込む

パワハラの悪質性が認められた場合、刑事事件として様々な罪に問われる可能性があります。

そうなれば損害賠償を請求できることになり、精神的苦痛を与えたとして慰謝料を支払わなければなりません。

身体的な攻撃を行えば「傷害罪」「暴行罪」

精神的な攻撃をすれば「名誉毀損」「侮辱罪」「脅迫罪」「強要罪」に問われる可能性があります。

このように、パワハラは行き過ぎれば刑事罰の対象となるような行為です。

セクハラは「受けた本人が不快に思えばセクハラ」になりますが、パワハラの場合は本人が「不快」なだけではまず認められません。

●怒鳴るような口調で厳しく注意を受けた

他の人より仕事量を多く割り振られた

●職場の中で自分一人だけ会話が少ない・・・

確かに面白くはありませんし、辛い思いもされているでしょう。

ですがこれらの事例では「不当」とまでは言いにくいように思えます。

基本的に業務の適正な範囲内とされること、すなわち企業や組織ルールの維持に必要な注意や叱責、業務上の正当な指示や命令、人事評価制度に基づいた評価や処遇であればパワハラにはなりません。

厚生労働省の報告でも、「業務上必要な指示や注意・指導」に不満を感じる場合でも、これらが業務上適正な範囲であればパワハラに当たらないとしています。

また身体的・精神的苦痛を与えられた場合の感じ方は、本人の主観的判断ではなく「同種の労働者がどう受け止めるか」といった客観的判断となります。

つまり、セクハラは「その人が不快」に思ったかどうかで判断しますが、パワハラは「誰から見ても不当であるかどうか」を判断基準のポイントにしているのです。

この記事のまとめ

●パワハラには法令規定が存在せず、そのためパワハラの判断基準は曖昧

●パワハラは厚生労働省に「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義づけられている

●パワハラは「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」の6つの類型に分けられる

●パワハラの悪質性が認められた場合、刑事事件として罪に問われる可能性がある

●パワハラの判断基準は「不当」であるかどうか

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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