もう派遣先の仕事に行きたくない。
私が派遣社員だった頃、毎日そう考えて生きていました。
朝は重い足を引きずって営業所に行き、夜は明日の仕事のことを考えて気が沈み、月曜からの会社のことを思うと休みも気が晴れません。
表情はどんより曇り、砂を噛むような気持ちで派遣先の仕事をしていました。
このままどこかへ逃げてしまおうか・・・通勤時や勤務中、ふとした時に頭をよぎる「バックレ」の文字。
もちろん社会人としてバックレはやってはいけない行為です。
派遣会社や派遣先に多大な迷惑をかけることになり、バックレた本人にとっても良いことはありません。
もしも派遣社員が仕事をバックレてしまうと、具体的にどういったことが起こるのでしょうか。
今回は派遣社員が仕事をバックレてしまった時に起こることやその後について紹介したいと思います。
目次
派遣社員に多いバックレ
「バックレ」とは、働いている人がある日突然仕事を無断で欠勤し、その後も連絡を無視して辞めてしまうことをいいます。
どうやら「しらばっくれる」から生じた言葉のようですね。
近年は働き方も多様化し、働く価値観も個々人で変わってきました。
正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトというように、様々な立場、異なる雇用形態で働く人が同じ職場で仕事をしています。
バックレは派遣社員に一番多いと言われています。
自分が採用された会社とは別の会社に派遣されて仕事をする。
実際の仕事内容や職場環境が事前に聞いていた内容と違っていたり、人間関係や能力不足などで悩んでいても相談できる人が近くにいない。
私自身も派遣社員として働いていましたが、悩みや不安を吐き出せないというのは相当に辛いものがありました。
●派遣先の仕事が始まる日の前日に連絡した時は行くと行っていたのに当日来なかった
●突然何の連絡もなく仕事に来なくなった
派遣会社にとっては、そんなことは日常茶飯事のようです。
バックレてしまう人はどのような理由でバックレてしまうのでしょうか。
●仕事が合わない
●仕事が聞いていた内容と違うものだった
●サービス残業を強いられる
●パワハラやセクハラを受けている
●人間関係がうまくいかない
●新しい仕事が見つかった
中には寝坊してしまい気まずくなったなんて理由でバックレてしまったなんてケースも。
契約内容と違う仕事をさせられていたり、パワハラやセクハラを受けていたり。
そのように派遣先に非がある場合であっても、バックレを正当化する理由にはなりません。
まず相談すべきは派遣会社の営業担当者です。
営業担当者に事情を話した上で、改善あるいは退職を希望するなど、正しい退職手続きを行いましょう。
中には心身が疲弊して限界を迎え、もう仕事に行くことができないこともあるかもしれません。
そんな時でも派遣会社に無理だと連絡を入れるだけでも、後の対応が全然違ったものになります。
派遣社員がバックレると派遣会社はどんな対応をとるのか
派遣社員にバックレをされると派遣会社には多大な迷惑がかかります。
「本日、○○さんが来ておりません」
バックレが発覚するきっかけのほとんどは派遣先からの電話。
派遣社員がバックレてしまうと、派遣会社は派遣先に対して契約違反をおかしたことになってしまいます。
派遣会社の営業担当者は、その日の予定を全てキャンセルしてでも、バックレた派遣社員を探し出さなければなりません。
それでは具体的に、派遣社員がバックレてしまった場合、どのような対応がとられるのでしょうか。
とにかく電話がめちゃめちゃかかってくる
まず営業担当者は派遣社員に対して電話をかけます。
無断欠勤の理由を確認しなければなりません。
●単なる寝坊なのか
●家で倒れているのか
●通勤途中に事故や事件に巻き込まれたのか
●それともバックレてしまったのか
あらゆる事態のを想定しながら、派遣会社は派遣社員の安否を確認する必要があるのです。
連絡が取れない場合は、入社時に登録した緊急連絡先に連絡がいくこともあります。
バックレだとわかったら・・・営業担当者はバックレた派遣社員を徹底的に探します。
とにかくかなりの量の連絡が来ることは覚悟しておきましょう。
当日は派遣会社の担当者や派遣先の上司などの連絡で、電話やメール、ショートメッセージの着信と通知でスマホは鳴りっぱなしです。
電話をかけてもバックレた社員が出ないことは想定のうち。
何があったか確認しなければなりませんし、できることなら説得して働き続けてほしい。
もし仕事を辞めるにしても手続きも必要になるため、連絡が取れるまで粘り強く連絡します。
電話やメールの着信がありすぎて、バックレた派遣社員の携帯の電源が切れてしまったという話もあるくらいです。
バックレは派遣会社にとって大問題なのです。
派遣先への謝罪と代替要員の手配
派遣社員のバックレで、直接迷惑を被るのは派遣先の会社です。
バックレた派遣社員への連絡と合わせて、派遣先の会社への謝罪と説明、そして代替要員の手配も行わなければなりません。
派遣先と契約しているのは派遣会社ですから、責任を持つのも派遣会社です。
バックレた派遣社員の仕事を埋める必要があります。
派遣先会社への迷惑を最小限にするためにも、できるだけ早く代替要員を確保しなければなりません。
派遣社員を見つけるために走り回ることになります。
そんな簡単に見つからないのですが、大事な取引先に迷惑をかけるわけにはいかないので必死です。
新しく派遣された人も、引き継ぎのない状態で業務を開始することになり、とても大変だろうことは想像にかたくありません。
派遣社員のバックレが原因で、派遣会社と派遣先の間で信頼関係が崩壊し、二度と使ってくれなくなる可能性もあります。
また、社員の質が悪いと派遣会社自体の評判も悪くなる危険性があります。
それを防ぐ為にも謝罪を誠心誠意行い、現状わかっていることの報告と説明、そして派遣先会社への迷惑を最小限に抑えるように必死に走り回ることになるのです。
自宅まで営業担当者が来ることも
何度も電話をかけメールを送っても反応がない。
緊急連絡先にも連絡がつかなければ、営業担当者は派遣社員の自宅まで足を運ぶことになります。
電話以外で連絡をとろうとしたなら、残されている手段は住所しかないわけですから仕方ありません。
もし寝坊をしていたり、出勤するのが嫌で家にこもっていた場合はここで営業担当者と鉢合わせしてしまうことになります。
バックレた派遣社員が実家住まいだった場合は、家族の方に対応してもらい、無断欠勤の経緯を説明します。
ですが一人暮らしの場合、派遣社員は姿をくらまし不在でいるケースがほとんどです。
そんな時は・・・まるでドラマの刑事のように、営業車の中でひたすら待つなんてことも。
近所の人から変な目で見られようとも、そんなことは気にしていられません。
バックレた派遣社員の責任を取らなければいけないので、行方不明のまま、わかりませんでしたで済ませるわけにはいかないのです。
派遣先への違約金の発生
派遣会社は派遣先と、人を派遣して業務を行わせるという契約を交わしているので、契約期間を終わらずして契約を終了させるとなると違約金が発生します。
言い方は悪いですが、ピンはねのイメージのある派遣会社。
ですが実際には世間が思うほど儲かっていないらしいです。
派遣社員にバックレされてしまうと営業料金の何割かを上乗せして請求されることもあります。
さらに・・・バックレが原因で派遣先に損害が発生した場合、違約金のみならず損害賠償請求をを派遣会社に求めることもあり得るのです。
ですから派遣会社は徹底してバックレた派遣社員を探します。
法律上、発生した違約金・損害賠償をバックレた派遣社員に求めることもできます。
(しかし現実的にはバックレた損害賠償を請求する派遣会社はほぼないです。)
今後は仕事の紹介がなくなる 解雇の可能性も
当然のことですが、バックレをしてしまうと今後は同じ派遣会社から仕事を紹介してもらうことは二度とありません。
すでにお話ししている通り、無断欠勤・バックレをしてしまうと派遣会社や派遣先に多大な迷惑をかけることになります。
途中で辞めることは派遣会社からの評価が下がり「信用できない登録者」と記録されます。
理由もなく仕事に穴をあけて派遣会社の信用を傷つけ、次に働いた先でも同じようにバックレをするだろうと考えられてしまいます。
次の仕事を紹介されることは無いと思ってください。
最悪、解雇もあり得ます。
もしもあなたが派遣先でバックレを考えている場合、前もって次の仕事を探しておくことをおすすめします。
別の会社で正社員を目指す、別の派遣会社に登録するなど、早めに準備をしておいた方がよいでしょう。
バックレる前に営業担当者に相談 正しい退職の手順を
バックレをしてしまうと、今後は同じ派遣会社から仕事を紹介してもらえなくなります。
また、ほとんど例がないとは言え、バックレによって発生した違約金や損害賠償を請求される危険性もあるのです。
バックレるくらい悩んでいるなら、まずは派遣会社に相談してみましょう。
バックレを考えているくらいですから、もう仕事を続けていくのが難しい悩みや不満があるかと思います。
そうした場合、まず相談すべきは雇い主である派遣会社です。
派遣会社は、派遣した社員が行う派遣先での仕事について、業務内容や就業時間、指示にかんする決まり事など細かい契約を交わしており、派遣先の会社は遵守する義務があります。
派遣先がルールを守らないからといって、あなたも同じようにルールを無視してよい道理にはなりません。
派遣先が本当にルールを守っていないのならば、それは派遣会社との契約違反。
きちんと報告して相談して、改善を求めるのが筋なのです。
派遣会社に相談しても改善の様子が見られない場合、派遣先をバックレるのではなく、正しい手続きで辞めさせてもらいましょう。
契約期間中であっても「やむを得ない事情」でしたら派遣先を辞めさせてもらうことは可能です。
正しい手続きで辞めることができれば、その後も変わらず仕事を紹介してもらえる可能性が十分あります。
もう話し合いの余地はないと思っても、せめて半バックレ、
最低でも派遣会社に「○○という理由でどうしても無理なので明日から会社に行けません」と伝えてから辞めるようにしてください。
バックレるくらいなら退職代行サービスを
ここからは退職代行サービスSARABA を利用して退職できた私の体験談です。
私は前職でとある派遣会社に登録し、建築の仕事で施工管理の仕事をしていました。
それまでは建築とは全く関係のない販売の仕事をしていたので全く未経験の業界と職種。
はじめこそ頑張ろうという意気込みで仕事にのぞみましたが、配属されてから2ヶ月で仕事についていけず、退職を考えるようになりました。
自分の能力不足と体調不良を理由に退職を申し出ましたが、提示されたのは研修を見直すという「改善策」。
本当の退職理由は派遣先の上司とのコミュニケーション不足、パワハラでした。
何かミスをしたり同じ質問をすると大声で怒鳴られ、「説教部屋(笑)」と称して営業車の中で詰問される日々。
就業時間後でも休日でもお構いなしに、普通に電話がかかってきました。
「説教部屋(笑)」とか、一体何がおかしいんだか・・・
このまま逃げ出してしまいたいと「バックレ」の文字が頭をよぎります。
営業担当者にはその後も「辞めたいです」とメールを送り続けていたのですが、途中から返信すら来なくなりました。
そして3ヶ月たった頃・・・
辞めたいとずっと相談していたのに、更新の意思確認も連絡もなく勝手に契約を更新されていたのです。
更新日まで勤めるのもギリギリでした。
さらにあと3ヶ月なんて絶対に心身がもたない。
目の前が真っ暗になる思いでした。
もうどうしたらいいかわからず、その時話題になっていた退職代行サービスにすがるように連絡を取りました。
無断欠勤ではないものの、いきなり辞めたという点ではバックレとあまり変わりません。
派遣社員がバックレをするとどんな派遣会社・派遣先にどれほど迷惑をかけるのか、そして鬼のように電話が鳴り、自宅に押しかけてくることも事前に調べて知っていました。
SARABAの担当の方にお願いしたのは次の2点です。
①派遣会社と派遣元に、私のもとに連絡が来ることのないようにしてほしい
②派遣先の上司がアパートおよび実家に絶対来ることのないようにしてほしい
派遣先の上司なんてミスすると電話口で「お前んち行くぞ、オラァ!!」って普通に言ってましたからね。
アパートの場所は知られてましたし、実家もおおまかな位置は把握されてます。
上司が押しかけてくるんじゃないかと思い、それがただただ恐怖でした。
退職を申し出た当日ですが・・・
私のところには一本の電話もなく、そして上司が家まで来ることなく、その日のうちに会社を辞めることができました。
(その日、私は実家に避難していました)
3ヶ月、面談をしてもメールを送って何ら進展しなかったのに、退職代行サービスに頼めば本当にその日のうちに辞めることができます。
もうあの職場に行かなくていい。
そう実感できた時の安堵の気持ちを今も忘れることができません。
もしもあなたも仕事が原因で体や心に不調を抱えており退職を希望しているのに現状が変わらないのでしたら、退職代行サービス を利用して会社を辞めてしまうのが有効な手段だと思います。
バックレと違って派遣会社とのやり取りは全て代行が請け負ってくれるので、ストレスなく会社を離れることができます。
この記事のまとめ
●バックレや無断欠勤は派遣社員が一番多い
●派遣社員がバックレると派遣会社と派遣先に大きな迷惑がかかる
●バックレてから数日は電話は鳴りっぱなし、自宅に営業担当者が来ることも
●バックレた派遣社員には仕事の紹介がなくなる
●悩みや不満があるなら営業担当者に相談、それでも解決しないなら派遣先を変えてもらう
●バックレるくらいなら退職代行サービスを利用しましょう
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。